書店で文庫本が並んでいるのを見かけていて読んでみたくなり購入。
先祖を探す探偵・邑楽風子(おうらふうこ)が受けるさまざまな依頼の裏にある人間ドラマ。
先祖探偵 (ハルキ文庫 し 18-1)
邑楽風子は、ジーンズしか穿かない。彼女は親を知らず、天涯孤独の身。東京は谷中銀座の路地裏で、先祖を専門に調査する探偵事務所を開いている。 「曽祖父を探して」「先祖の祟りかもしれないので調べてください」……とさまざまな調査依頼が舞い込む──。 宮崎、沖縄、岩手などで美味しい料理を楽しみながら、マイペースで仕事をする孤高の...
邑楽風子はジーンズしか穿かない。
「ひいじいさんを探してほしい」「中学校の課題で先祖にすごい人がいないか調べたい」「先祖の祟りではないか」「戸籍がないからルーツを知りたい」ひとつひとつのストーリーもおもしろかったし、本全体を通して風子自身のルーツを知る旅にもなっていて、すごくおもしろかったです。
先祖って知りたいような、知りたくないような。知りたくなかった事実を知ってしまうかもしれないしなあ、と私は思ってしまいますが。
無戸籍児の問題はわりと仕事でも関わりがあったりするので興味深かったです。日本は子供には親切だから、子供の戸籍は割と作ってもらえる。
紙切れ一枚といえばそうだけど、それがあるかないかで受けられる社会サービスも全然違うし、つながりをたどれるかどうかも変わってくる。
実生活ではほとんど目にすることのない紙きれ一枚の話なのに、どうしようもなく人の縁が振り回される。
p230
巻末に辻堂ゆめさんとの対談も載っていてよかったです。
参考文献に挙げられていた井戸まさえさんの『無戸籍の日本人』も読んでみたくなりました。
コメント