『イクサガミ天・地』今村翔吾

本のこと

今村翔吾さんの小説は初めて読みました。時代小説自体これまであまり読んでこなかったので、新しいジャンル開拓です。

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舞台は明治11年。明治維新後、西南戦争が終わったばかりでまだ混乱を引きずっている時代。ある日新聞に、「本年五月五日午前零時に京都天龍寺境内に集まった者には金十万円を得る機会を与える」という記事が載ります。

当日天龍寺に集まった者たちは、このゲームのルールを説明されます。各自木札を一枚ずつ渡され、これを持って東京を目指す。

木札は1枚1点を意味する。途中の関門では、通過に必要な点数がが決められており、それを満たさない者は失格となる。点数を稼ぐ方法は、「奪うこと」。その手段は問わないと。京都から東京を目指すデスゲームが始まった・・・

主役は剣客・愁二郎。12歳の少女・双葉がこのデスゲームに巻き込まれていることに気づき、双葉を守りながら東京を目指すことを決意します。

旅の途中で、元伊賀同心の柘植響陣などと協力しながら東京を目指すことになったり、愁二郎の生き別れた義兄弟たちとの間で秘儀・京八流の継承権をめぐる争いも絡んできたりと、息もつかせぬ展開にすっかりはまってしまいました。

しかしデスゲームですので、いかんせん人が死にまくります。天龍寺でルールを聞かされて、「こんなめちゃくちゃなことあるか」と帰ろうとした人たちは覆面の男にあっさり殺されます。明治版イカゲームか。

無骨や幻刀斎といっためちゃくちゃ強くて無慈悲な敵も現れるし。途中でいい人が出てきて癒されるなあと思ったらあっさり殺されてしまったりして、つらくなります。

私は文庫本とAudibleを併用して読んでいたのですが、Audibleの朗読もめっちゃかっこよかったです。義弟の四蔵の声がとくにかっこいい。響陣の関西弁もいい。声が渋すぎるあまりに女の子の声に若干違和感はありますが、他がかっこいいのでよしとします。

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ゲームが行われる背景として、大久保利通や前島密など実在の人物も登場するので、幕末や明治維新についてもっと勉強したいなとも思いました。

『イクサガミ』は三部作ということです。今の時点ではまだ第2巻までしか出ていないので早く続きが読みたいです!そして、みなさんどうかご無事でありますように・・・

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