『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が大好きなので、同じ桜庭一樹さんのこちらの小説を読みました。
Bitly
角川文庫のこの装丁、大好き。
辻斬りのように男遊びをしたいな、と思った。
「たいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった」川村七竈。鉄道模型が大好き。幼馴染の雪風が大好き。
奔放な母・優奈に振り回され、幼馴染のはずなのにどんどん似てくる雪風と自分とを見た大人たちの反応に心をざわつかせる。
何もしなくても注目を集めてしまう七竈は、東京へ向かう。
「人間には、都会向きの性質を持つものと、持たないものがいる。というのが持論なんだ。ははは」
p108
「はぁ」
「美しいひとは、都会に向いている、と、そんな気がね。つまり変わっている生きものは。頭がよすぎるのも、悪すぎるのも。慧眼がありすぎるのも、愚かすぎるのも。性質が異質で共同体には向かない生まれのものは、ぜんぶ、全部、都会にまぎれてしまえばいい、と思っていてね。ははは」
東京から来たスカウトの女性が言うこの言葉、田舎出身の私にはすごくわかるなあと思いました。
途中で犬の視点で語られるところもおもしろい。
雪風が好きで七竈に敵対心を勝手に抱いていた後輩が、一周回って七竈が好きになっていくところも好き。
あとから読み返してみると、母の優奈目線で書かれた章は字を下げて書かれているということに気づきました。最初読んだ時気づかなかった・・・
七竈の赤い実と、雪の白のコントラストが印象的でもありました。
『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』のレビューはこちら。
コメント