『君の地球が平らになりますように』『恋に至る病』を読んですごく好きになった斜線堂有紀さんの新刊短編集を読みました。
Bitly
まず装丁が素敵。フォントがいいですね。目次や短編ごとの扉絵も素敵です。物語の雰囲気がよく出ていると思いました。
表題作をはじめ、7つの短編が収録されています。どの短編も、美しくて、怖い。
表題作の世界観も大好きだし、「死して屍知る者無し」の世界がひっくり返されるような不安もよかったし、「痛妃婚姻譚」も美しくて哀しくて好きでした。
「本の背骨が最後に残る」は、本というのは紙ではなく人が語るものとして存在する、という世界のお話。ある本とある本の語る物語に食い違いが生じた場合、「版重ね」というイベントが催される。コロセウムのような劇場の真ん中に吊るされた鉄の籠の中で、2人の本のうちどちらが正しいかの議論を戦わせ、勝ったほうが生き残り、負けたほうは炎の中に落とされ焼かれるのだ。ふつうは一人の本はひとつの物語しか語れないことになっているのだが、10もの物語を持っている十(とお)という本が主人公。十はこれまで何度も「版重ね」を挑まれ、すべて勝利してきた・・・
この世界観、すごいです。美しいけど、儚い。十の美しさ、強さと、怖さが伝わってきました。
いやー、さすがです。
他の短編も、架空の世界の話なので、最初は「ん?どういうことだろう?」と思いながら読んでいくと、だんだんその世界の設定が分かってきて、そうするとそこからは一気に話が展開して、おおーっというラストへと連れていかれます。
斜線堂有紀さんの本では『楽園とは探偵の不在なり』も買ってあるので、近いうちに読みたいと思います。
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