葉真中さんの小説は初めて読みました。『絶叫』も買っているのですが、まずはデビュー作から読んでみようと思い、こちらを読みました。
介護業界をテーマにした社会派ミステリ。42人もの老人を殺害したとして起訴され、死刑判決が出るシーンから物語は始まります。
3人の登場人物プラス犯人の「彼」の目線で順番に語られていくうちに真相が明らかになっていく。この人が怪しいな、と思わせる書き方がすごい。
明らかにバレバレの書き方をしてもおもしろくないし、ごく少数の人しか分からないような書き方でもおもしろくない。
ほとんどの人が、これってこの人が怪しいってことだよね・・・?って思うくらいのレベルでにおわせるってすごいなと改めて感じました。
これがデビュー作って、すごすぎる。
介護の現場ってたいへんなことほんと多いし、家族介護は当事者にしかわからないこともたくさんあるだろう。本音をなかなか言えないみたいなところもあると思う。
そのタブーに踏み込んでいて、社会への問題提起を感じました。
『絶叫』はさらに分厚い文庫ですが、葉真中さんの文章はとても読みやすかったので、いける気がします。
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