『幽玄F』佐藤究

本のこと

『テスカポリトカ』がすごくおもしろかったので、佐藤究さんの新刊『幽玄F』も読んでみました。

子供の頃から飛行機に心惹かれていた透。

高校生の時に同じく飛行機好きの友達・溝口に誘われて行った三沢基地の航空祭で初めて戦闘機を見て、自分は戦闘機に乗る、と決める。

戦闘機を操縦したいという気持ちだけで、それからは学業と体づくりに励んで航空学校へ進み、夢を叶えた透。

天才パイロットと誰からも評価された透は、超音速の世界に魅入られていく・・・

果てしない空の世界に惹き込まれて一気読みでした。

私は高いところが苦手で、飛行機も怖いから、できれば空ではなく地面を移動したいタイプなので、戦闘機を操縦する場面は怖くてドキドキしてしまいましたが。

繰り返し出てくる蛇のイメージや、真言の怪しげな呪文、東南アジアのジャングルなどさまざまなイメージが渾然一体となって一つの世界を作り出していました。

真言宗といえば、前から大好きでよく聞いているポッドキャストの「コテンラジオ」で「最澄と空海」編をやっていたのですが、そこでの密教の説明がとてもわかりやすかったです。

講談社学術文庫の『唯識の思想』もずいぶん前に買ってまだ読めていないので、いつかチャレンジしたいです。

というわけで佐藤究さん、今作品もすごかったです。文章がかっこいい・・・

これからも追いかけていきたい作家さんです。

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