一穂ミチさん、初読み作家さんでした。
第168回直木賞候補作&2023年本屋大賞第3位受賞作品です。
映像が思い浮かぶような、キラキラときれいな文体だなあと思いました。好きだなあ。
結珠(ゆず)と果遠(かのん)の二人の女の子が主人公。
結珠はある理由から毎週水曜日に果遠が住む団地に通うことになります。
裕福な結珠と貧しい果遠と、家庭環境は全然違いますが家に帰ってから一緒に遊ぶ友達がいなかった二人はすぐに仲良くなり、いろんな話をします。
毎週水曜日のその時間は二人にとってとても大切な時間。
ですが、自分たちではどうしようもない力によって二人は別れることに。
二人にとってお互いがとても大事な存在。それぞれが結婚してからも変わらない。
離れてもいつかまたきっと会える。
自分の決断で別れてしまうのが怖いから、引き止めない。
苦しくて、切ない・・・
あと、娘と母親との関係も、それぞれ難しい。習い事たくさんやらせて、自分と同じ医者の妻にさせようと厳しい結珠の母親。添加物は悪いからと給食を食べさせずに雑穀米のおにぎりを娘に持たせて、塩と酢で体を洗わせる果遠の母親。
子どもは母親に意見できない。おかしいなと思っても言われた通りにするしかない。そして、どんなにひどい母親でも見捨てることは絶対にできない。
果遠が結珠に何度か「光のとこにいてね」という言葉をかけますが、それがとても印象的でした。
一穂さんの本もっと読んでみたくなりました。
文庫化されたばかりの『スモールワールズ』が気になっています。
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