大好きな阿津川辰海さんの短編集です。
『透明人間は夜に潜む』と同じ青依青さんの装画が素敵。
まだ読んでいないけど『録音された誘拐』と一緒に3冊並べたくなります。
本書には四つの短編が収録されています。全部コロナ禍という時代を背景にした作品です。
著者もあとがきで書いていますが、やっぱり今思い返してもいろいろきつかった。あの頃の空気を抜きには小説も書けなかったんだろうなと思いました。
私は「二〇二一年度入試という題の推理小説」が好きでした。
大学入試の問題で、試験のためにオリジナルで作られたミステリ小説を読んで、「犯人および犯人の使ったトリック、およびそう考えられる根拠を自由に述べなさい」という入試問題が出たら、という設定のお話です。
課題文であるミステリ小説が載せられていて、それに対する予備校の模範解答、ミステリマニアの大学生が書いた解答などがネットに上がり、そんな入試問題出す大学を叩くようなコメントもSNSでたくさん上がる。
ありそうで、なさそうで、ありそうな設定がおもしろかったです。
この作品も作中作品として入試問題が書かれていたり、他の短編も、本のタイトル通り「入れ子構造」になっていておもしろかったです。
そして、毎回楽しみなのが「あとがき」です。どんなことを考えてこの小説を書いたのか、モチーフにした小説はどんなのか。などが詳しく書かれていてより理解が深まります。
あとがきに挙げられている作品をどんどん読みたくなる・・・
阿津川さんの短編集は大好きです。ほんとすごい。
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