SNSで見ておもしろそうと思い購入。表紙がかわいくて好きです。深緑野分さんは初読み作家さんでした。
「本の町」読長町の中心的存在である「御倉館」を運営する御倉家の高校生・深冬は、本が大嫌い。
ある日、御倉館から本が盗まれたことで本の呪い「ブックカース」が発動し、町が本の世界に変わってしまった。
泥棒をつかまえて本を取り戻さないと町がもとに戻らない。
不思議な少女・真白と一緒にいろんな本の世界を冒険し、本泥棒をつかまえる深冬のお話です。
久しぶりにこういうファンタジーを読みました。すごくおもしろかった。
本が嫌いな深冬ちゃんが、いろんな本の世界を冒険することで、怖いこともいっぱいあったけど、少しずつ本が好きになっていくのがすごくうれしかった。
盗まれる本もジャンルが幅広くて、真珠雨が降り夜空が巨大な黒猫の体という魔術的な世界、タバコをくゆらす探偵が活躍するハードボイルドの世界、幻想と蒸気に満ちた冒険小説の世界、などなど、全部魅力的。
最初、盗まれた本を読んで、と真白に言われた深冬は、いやいや読んだあとで「まさかこれを全部読めって?」と言い、真白に「続きを読みたくないの?」と聞かれると、「だって絶対長いじゃん」と答えました。これ、私の中学生の娘(読書が好きではない)がめっちゃ言いそう!
だけど、真白と一緒に本の世界を冒険したことで、深冬は前よりちょっと本が好きになった。
本は寂しさを紛らわせてくれる。いろんな自分を全部受け止めてくれる。
自分の話をいっしょうけんめい聞いてくれて、自分の意志を尊重してくれる真白ちゃんのように。
「深冬ちゃんのしたいこと、したくないことを考えて、大事にしなくちゃ。私も深冬ちゃんの決めたことを大事にしたいしーー私は深冬ちゃんの味方だよ。誰が何て言っても」
p152
この小説を読んで、私も深冬ちゃんと真白ちゃんと一緒に冒険することで、本を読む楽しさを再認識させてもらった気がします。
やっぱり読書っていいな、うんうん。
「本の町」という設定がそもそも素敵すぎます。
駅前には商店街があり、青果店、鮮魚店のほか、揚げたてコロッケも売ってる精肉屋さん、焼き鳥屋さん、中華料理屋さんなどのお店からおいしそうな匂いが漂っている。
その先には新刊書店、古書店、ブックカフェ、絵本専門店、小説家の書斎を改装した喫茶店などなど、本にまつわるお店が並んでいる。こんな町あったら絶対住みたい!
この本は中学生の娘にもぜひ読んでもらいたい。でもあんまり押しすぎると読書嫌いになってしまうかもな、かつての深冬ちゃんのように・・・やりすぎない程度におすすめしたいと思います。
深緑野分さんの小説は、『ベルリンは晴れているか』や『スタッフロール』も気になっています。
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