『自由研究には向かない殺人』が面白かったので、シリーズ第2作目の『優等生は探偵に向かない』を読みました。
じつはけっこう前に買ってはいたのですが、その分厚さにちょっと気が引けて、しばらく積んでいました。
今回、えいやっと気合を入れて読み始めると、おもしろくて結局一気読みでした。
そういえば『自由研究には〜』のときも同じこと思ったんだった(笑)
高校生のピップが町で起きた事件を調査するシリーズの2作目ですが、完全に前作の続き、という感じでした。
なので、『自由研究には〜』を読んでからこちらを読むことをおすすめします!
前のストーリーが前提での本作となっているし、冒頭で前作の振り返りとして完全なネタバレがあるので。
大きな作品の中の第2部、というイメージ。
シリーズものにもいろんなタイプがあるけど、ここまで続編、という感じの物語は久しぶりに読んだ気がするなあ。
今回も、ピップとボーイフレンドのラヴィのやりとりがすごく微笑ましくていい感じ。ピップの家族も愛情あふれていて大好きです。
今回の事件は、ピップの同級生の胃に胃酸が行方不明になってしまったので探して欲しい、というもの。
前作の調査で自分の身も危険にさらされて大変なことになったので、もう二度とあんなことはやらない、と決めていたピップ。
それだけに、この調査を引き受けるかどうかすごく悩みますが、最終的には友達の頼みを断れないし、断ってそのお兄さんに何かあった場合に自分で自分を許せなくなると思う、と考えてて引き受けることにします。
このあたりの気持ちの書き方や、ラヴィや家族の反応の描き方がすごく好きでした。
依頼を引き受けるか悩んでラヴィに相談した時のラヴィの答え。
いや、きみのかわりに決断はできないな。どうすべきかわかっているのはきみだけだし、答えを出せるのもきみだけだから。でもぼくにだってわかっていることはある。ピップがどう決断を下そうと、それはかならず正しいということ。きみはつねに正しい決断をする。ピップがどの道を選ぶにしろ、ぼくはね、きみのすぐ後ろにいる。いつだって。わかった?
p82
大反対するお母さんに向かってピップが言ったこと。
自分はジェイミーを助けられる唯一の人間じゃないかもしれないけど、いまここにいて手をさしのべられるのはわたしだけ。これはジェイミーの命にかかわることなんだよ、ママ。もし彼の身になにかが起きて、自分がノーと言ったのはそれが楽な道だったからだとしたら、わたしは良心に恥じないように生きることはもうできないと思う。安全な選択だから、両親が望む選択だから、という理由だったとしたら。だからいまわたしは行動を起こしてる。やりたいからじゃなくて、やらなきゃならないから。
p191
今回も、関係者へのインタビュー、SNSの投稿や、写真の調査など、いろんな情報が集まっていく様子を読者はピップと一緒に見守っていきます。
また、前回の事件についてピップはポッドキャストを始めていて、今回はそれも情報提供を呼びかける一つのツールになっていたのもおもしろかったです。
本作を読み終わって、ピップがすごく心配になりました。『自由研究には〜』よりも深刻な状況になってしまった。大丈夫かなあ・・・
これは第3作目『卒業生には向かない真実』も読まなければ!
『自由研究には向かない殺人』のレビューはこちら。
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