SNSで感想をよく見かけていて興味があり購入。
小学生の息子が不登校になり友達とYouTubeを投稿し始めた検事。
大学の文化祭の実行委員をやることになった女子大学生。
地元のイオンの中の寝具店に勤める女性。
まったく接点のない3人の日々が交代で語られるうちに、少しずつ共通事項が出てきて物語が絡まり合っていく構成がすごかった。
多様性を尊重しよう、というのはいろんなところで聞くようになったけど、結局自分たちの想像の範囲内での「多様性」しか認められないんじゃないのか。
社会への強烈なメッセージを感じました。
性欲はどんな人にとっても基本的には後ろめたいものかもしれない。だけど、後ろめたいながらも、自分が抱えている欲望は、”そこにあっていいもの”なんだと思いたい。
p371
どんなものを持ち合わせて生まれてきたとしても、自分はこの星で生きていていいんだと思いたい。何もかもを持ち合わせられずに生まれてきたとしても、この星でなら生きていけるのかもと期待したい。この世界がそういう場所になれば、たとえ人生の途中でどんな変化が訪れたとしても、生きていくこと自体には絶望せずにいられるのかもしれない。
「多様性」の枠からも弾かれた人の絶望、諦めがすごく伝わってきました。
最後まで読んでから、冒頭の事件の記事をもう一度読むと、あまりに的外れで絶望的な気持ちになります。
最初に読んだとき、なんの疑問も持たず普通に読んでいた自分が怖い。
こういうことって実際自分も知らないうちにやってしまっているのかもしれない。。。
文庫版の解説が臨床心理士の東畑開人さんだったのでびっくりしたのと同時に、すごく得した気分になりました。
東畑さんの『居るのはつらいよ』はすごく好きな本なので。
公開されたばかりの映画も評判いいみたいなので、興味あります。見てみたいなあ。
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