『幻夏』太田愛

本のこと

SNSでレビューを見ておもしろそうと思い購入。同じ香川県出身というところにも勝手に親近感を感じました。

太田愛さんの作品を初めて読みましたが、すごくすごくよかったです。

小学校6年生の夏に突然同級生の尚がいなくなってしまった。
それから23年。刑事となった相馬は少女失踪事件の現場で同級生がいなくなった場所にも残されていた謎の記号を発見する。
あの夏何が起きたのか。尚は今どこにいるのか。

相馬と、友人の探偵・鑓水、助手の修司の3人が少しずつ真実に近づいていくのを一緒にドキドキしながら見守っていました。3人のキャラがすごくよかったです。

尚と拓の兄弟が生活に余裕がない中でもお互い支え合って暮らしている様子がすでに泣ける。そして真実が明らかになったとき、思わずため息が。

そっか。そうだったんや。いやー。つらい。

読み終わった後もしばらく余韻に浸ってました。

ミステリーとしてだけでなく、社会への問題提起もあるのがこの著者の特徴でもあるようです。

本作品では、「十人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれ」という刑事裁判の原則について。

この原則は現実に尊重されているのだろうか。検察が起訴した被告人のうち、裁判で有罪判決が出るのは異様に高く99%に上るという。日本の裁判制度は果たして冤罪を防ぐ仕組みになっているのだろうか、というメッセージを感じました。

常盤は、法的に罪に問われなければ、悪ではないと考える自分をまるで疑っていない。この疑いのなさ、自らが他者に与えた痛みに対する見事なまでの無関心が、犠牲を生み出し続ける現状を、根底から支えている力なのだと鑓水は思う。同時に、そういう意味では、常盤のような人間はそれほど珍しい存在ではないのかもしれないとも思った。

p445

最後まで読んでから知ったのですが、太田愛さんの書く鑓水、相馬、修司が登場する三部作というのがあって、『幻夏』はその第2作目だったみたいです。

第1作目は『犯罪者』。そして第3作目が『天上の葦』。

『幻夏』から読んでも全然問題なかったですが、太田愛さんのファンになったので、他の作品もぜひ読んでみたいと思います。

朝:プロテインマグケーキ、春雨サラダ
昼:ベースブレッドチョコ、メロンパン、カニカマバー
夜:ポトフ、昆布おにぎり

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