『ハーモニー』伊藤計劃

本のこと

ほんタメでおすすめされていたので購入。

なんか私が買ったのと表紙が違う・・・

私はAmazonで注文したのですが、その直後にハヤカワ文庫の100冊フェアが始まって、ほんタメ帯バージョンが売り出されたみたいなので、ちょっと残念でした。

https://www.hayakawabooks.com/n/n584794dae49c

htmlタグみたいなのがところどころ挿入されていて、これは何だって感じだったのですが、読んでいくとだんだん慣れてきて、これはこういうときに使われるタグかな、とか分かるようになってきました。そして最後に、その意味らしきものも明らかになります。

舞台は21世紀後半、大災禍(ザ・メイルストロム)という大混乱の時代を経て、健康的な生活を第一目標とする社会が築かれています。政府ではなく生府(ヴァイガメント)=医療合意共同体(メディカル・コンセンサス)を中心とした、生命主義の時代。

WatchMeというソフトが人々にインストールされ、生体情報がつねにモニタリングされる。メディケア、メディモルという技術によってリアルタイムで健康維持に必要なものが供給され、世界からはほとんどの病気がなくなった。

そして、拡張現実(オーグ)によってすべての人は自分の健康状態を含む個人情報を常にオープンにさせられている。

私たちの体は私たち個人のものではなく、「公共物」であり、社会の「リソース」である。
そんな、すべての人間が完璧にハーモニーを描く世界は、はたしてユートピアなのか、ディストピアなのか。

私は公衆衛生大学院というところで公衆衛生を学んだのですが、そこでは基本的に健康に悪いもの(タバコなど)はやめましょう、健康にいいこと(食事、運動)をしましょう、ワクチンを接種しましょう、などを人々に言うことを学びました。

もちろんそれはとても大事なことだと思っていますが、一方で、人には自分の体に悪いことでもする自由というのもあるのでは、という思いもありました。

集団の健康を守ることにどこまでの強制力があるのか。とくに新型コロナウイルスが流行してみんなに協力してもらわないといけないというときに、どんな根拠があって政府は人々の行動を制限できるのか。

このような問いについてもみんなで議論をしたこともありますが、考え出すと分からなくなってきます。

もしかしたら、今の健康対策が行き過ぎると「ハーモニー」の世界になってしまうのでは、というリアリティを感じました。

著者の伊藤計劃さんは、ユーイング肉腫で2009年に34歳の若さで亡くなってしまったそうです。巻末に収録されたインタビューで「ハーモニー」の続編について語られていましたが、それがもう読めないと思うと残念です。

ほんタメの「ハヤカワ文庫のおすすめ本を語る回」はこちら

朝:プロテインマグケーキ、キウイ
昼:豆腐バー、鮭おにぎり
夜:チキントマト煮
おやつ:コーヒーあんぱん、ビスケット

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