『傲慢と善良』辻村深月

本のこと

書店でよく見かけていたので、久しぶりに辻村深月さん読んでみようと思って購入。

突然失踪してしまった婚約者を探す中で、これまで知らなかった彼女の一面を知っていく。

自分たちは問題なくうまくいっていた。ストーカーに付きまとわれていると言っていたから絶対事件に巻き込まれたに違いない。

そう思って必死に探す主人公の架(かける)でしたが、婚約者の真実(まみ)のことを地元の群馬にも通って調べていくうちに、自分が知っていた真実はごく一部なのかもしれない、と思えてくる。というか知らない部分の方が多かった。

真実のことを調べながら、真実と出会い結婚を決めた自分自身とも向き合い、自分の傲慢さに気づく。

一つのテーマとして、婚活やお見合い、結婚があります。

現代の結婚がうまくいかない理由は、『傲慢さと善良さ』にあるような気がするんです

親に言われた通りに進学して就職して結婚して幸せに暮らす。そんな「善良な」人の中にも、相手を選ぶときに「なんかピンとこない」と言って自分には釣り合わないと一方的に判断してしまう傲慢さもある。

失踪した婚約者、真実の母親がキツかった。娘が余計な苦労をしないように。うちはちゃんとした家だからそれに見合う相手を見つけてあげるのが親のつとめ。。。

そんな母親に嫌気がさして、早々に家を出た真実の姉は、母親のことを「自分の物語が強い」とバッサリ評価します。

私自身の母親も、ここまでではないけどこういうところあるなあと思いました。私はこの本に書かれているのと同じような田舎の閉鎖的な環境が合わなくて真実の姉のように早々に家を出てしまったタイプですが。

だからこそ、地元に残された妹がその分親からの期待を引き受けることになったのだろうか。真実のように。私には言わなかったけれど。

そして、私にも自分の子どもに同じようなことをしてしまうリスクはあるということで。そうならないように意識しないといけないなあと思いました。

「ピンとくる、こないの感覚は、相手を鏡のようにして見る、皆さんご自身の自己評価額」だと話す結婚相談所の小野里さん、人間の汚い部分ずるい部分をあっけらかんと認めて他人のそういう部分もあっさり見抜いてしかも本人に指摘してしまう架(かける)の女友達たち。

ああもうそんなズバズバ指摘しないで。私の中の嫌な部分、隠しておきたい部分を。

と、胸の奥がぎゅっとなりながら読みました。さすが辻村さんだなあ。

第二部は真実の視点で描かれています。ラストは救いがあってよかった。

朝:ベースブレッドレーズン
昼:つぶあんぱん、昆布おにぎり
夜:カニカマバー、ねぎとろ巻き

コメント